第10回日本アグーナリー(2008年7月31日~8月4日開催)報告

<“アグーナリー”(AGOONOREE)とは>(日本連盟より引用)
ギリシャ語の“AGOON”(「集会」「競技会」の意)からきた言葉で、ボーイスカウト用語としては、1か国あるいは数か国の障害スカウトが集まって開く行事を表します。単にアグーン“AGOON”とする場合もあるが、“ジャンボリー”(JAMBOREE)や“キャンポリ-”(CAMPOREE)のように “OREE”をつけて、“アグーナリー”(AGOONOREE)と呼ぶようになりました。

もうひとつのジャンボリー

北九州第1団 執行秀一

 私は、約4年前から大学で市民活動を紹介するNPOの活動に携わったことをきっかけに、小倉南区にあるハンディキャップスカウトの団の活動に参加している。この団は若いリーダーが多く、西南女学院大学や九州女子大学などの大学生が副長やデンリーダーとなって活躍している。その若いエネルギーに支えられて、今回の第10回日本アグーナリーへの参加はかつてない印象的なものとなった。

 日本ジャンボリーなど、ハンディキャップを持たない私たちが参加する大会とはどのような違いがあるのかなと思いながら、自閉症を持つスカウトともに新幹線に乗ったりバスに乗ったりして会場へとスカウトともに向かった。ひとつのことに集中することが難しいなどのハンディキャップを持つスカウトと接するためには事故が起きないように、神経を倍以上に働かせなければならない。私たちの班の人数は9名で、他の班を大きく圧倒していた。

 会場についてからは、炎天下の中でのテント設営になり、スカウトが熱中症にならないようにするため、水分補給を細かく行なった。スカウトと付きっ切りで動いていたので、私のほうが水分不足になり、1リットル入っていた水筒が半日もしないうちに空っぽになった。その分、スカウトと語り合うことが多く、「神戸市営地下鉄に乗りたい」 と終始言っていたスカウトとの思い出は忘れることはないだろう。このスカウトは自閉症と軽度の知的障害を持っていたが、元気いっぱいで、いろんな人のところへ飛び込んでいくわんぱく少年だった。ウォークラリーのときは、班員がはぐれないようにロープを持って電車ごっこをしながら各チェックポイントを回った。ネッカリング作りやTシャツ作りなどをして、ドリームアワードを獲得した。この間も、私と行動をともにしたスカウトは
 「神戸市営地下鉄に乗りたい」
と言っていた。

 私は今回のアグーナリーで仲間とふれあうことにより、私たち健常者のスカウトとハンディキャップを持つスカウトとの間の距離を狭めることができたのではないかと思う。同じボーイスカウトの中でも未知の領域がたくさんあるということを改めて感じた。多くの指導者やスカウトに支えられながら充実したときを過ごし、楽しい思い出を作ることができた。 また、ハンディキャップを持つスカウトたちと接することにより、コミュニケーションスキルが向上したように思う。これからも活動の世界を広げ、ハンディキャップを持つスカウトと関わっていきたい。

それから、神戸市営地下鉄に乗りたいと、大会中に終始言っていたスカウトの願いを叶えることができるといいなと思う。

第10回日本アグーナリー 第10回日本アグーナリー
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