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県連メッセージ
あしあと-ロゴ 「This too is scouting」
<ONIHEI-M&A>
Vol.5
 
県連ホームページへの投函も昨年一年間は失礼しました。また改めてスカウティングを見つめ直してみたいと考えております。
 昨年は県連創立八十周年を迎え数々の記念行事が行われましたが、特に日本連盟としても初めての全国大会(これまでは全国会議)を誘致し、県連全指導者の心からの奉仕により成功裡に開催できたことは「さすが福岡県連」との評価を受けました。このことは指導者の皆さんの常日頃の精神の賜物と思います。
 さらに二十年ぶりに「県連野営大会をグリーンピア八女で開催されたことも県連の新しい歴史を刻んだといえいます。特に大会式典の時に、ものすごい雨に見舞われ会場を変更することになった時、スカウト達が不平不満も言わず、指導者の指示に従って整然と移動したことはご来場の来賓からも賛辞を頂き、特に連盟長である麻生知事からも良い評価を頂き「さすがボーイスカウト」のお言葉を頂いたことは、大変嬉しい事でありました。このことは常日頃の訓練の成果の現れであり心から嬉しく有難いことでありました。
 このようにボーイスカウト運動が評価されているのに、なぜスカウト登録数が減少しているのでしょうか。このことを県連、地区役員及び全指導者、そして保護者の皆様も一緒になって真剣に取り組み、原因の究明に当たると共に方途を渚じなければなりません。結果には必ず原因があります。従って今回は、もう一回スカウト運動について考えてみたいと思っております
 連日のようにテレビ、新聞等で事件が報道されていますが、特に青少年の犯罪が急激に増加しております。こうして事を知るにつけ日本連盟が提唱しておりますように「一人でも多くの青少年にスカウト運動を」ということを真剣に問題しなければなりません。
 そもそもスカウト運動は、1800年後半からイギリスが極度の恐慌、国の将来を憂慮した政府がベーテンパウエル郷に、将来の国を背負って立つ青少年の教育を依頼し1907年にブラウンシー島に20名の少年を集めて実験キャンプを実施たことにスカウト運動が始まり、明年で丁度、百年を迎えます。
 そしてスカウト運動が世界中に広がったのが、いわゆる「アンノンスカウト」による善行がもとでありますことは言うまでもありません。日本でも昭和天皇が訪欧の時にベーテンバウエル郷にお会いになり、そのことからスカウト運動が始まったといえます。
 このような歴史と社会の現状を似た時は、私も一指導者として、改めてスカウト運動を求め直さねばならないと考えています。
イギリスのギルウェル訓練野営場の元所長である、ジョン・サーマンと言う人が「あなたのスカウティングは、基本に忠実ですか。そして現代にマッチしていますか」と言われています。
 私の父がよく私に「基本のない実際は、我がであり実際のない基本は無である」といっていました。こうしたことから私は、将に今日こそ、この事を真剣に問題にしなければならないのではないと考えています。そこで今回は基本のところを中心に進め、次回以降に基本・実際とのかかわりに触れたいと思います。 
 言うまでもなくボーイスカウト運動の基本は「ちかい・おきて」であります。今更と思われるかも判りませんが、今このことが非常に軽視されているように思えてなりません。「ちかい」の最初に「私は・・・」とあり自分自身の責任においての自覚が促されています。そして「名誉にかけて」とありますが、このことは現在人の意識の中で非常に希薄になっているのではないでしょうか。現代は「自己中心」の時代といわれています。大人も子どもも「自分さえよければ・・・」ということです。その原因は色々あります。そして次に「次の三条の実行を誓います」とあり、考えではなく実行を誓うのです。私はよく「心は形」といっています。形、すなわち心があるからの実行であり、それができるものは「心」であり「意志」であります。そして「一、神「仏」とに誠を尽くし、おきてを守ります」とあります。このことを説明しますと長くなりますので「神(仏)と国とに・・・」のところだけを問題にし、その後は次回に回したいと思います。私は最近改めて、ベーテンバウエル郷の「最後のメッセージ」を読んでみました。そこで気がついたことは、彼の信仰心によってこの運動が始められたということです。信仰心については前回に述べておりますので省略しますが、現在のスカウティング、そして問題点を考える時に、一口でいえば「スカウト精神」の希薄にあるように思えてなりません。
 すなわち「神(仏)」にまことを尽くす基本は心であります。スカウト運動に対する「心」が基本であり、そうした意味でスカウト運動は「心の教育」といえると思います。心を中心にした教育によって役に立つ人格形成ができるのです。宗教心については前回(Vol.4)で述べているのでご参照下さい。そこで運動の働きを表す場合に私は「コマ」の絵で説明していきますので参考にして下さい。簡単に説明しますと芯が「ちかい・おきて」であり常に回転している、すなわち活動をしているのです。そして四大制度といわれる班制度、進歩制度、野外活動、一貫したプログラムが全ゆるスカウト活動の内容として活動が進められなければなりません。このことがスカウト活動の基本であり、その中心が「ちかい・おきて」であります。
 次回はスカウト運動の展開して行く実際について問題にしてみます。特に「日々の善行」と「そなえよつねに」を中心に進めたいと思っております。
   
Vol.4
 今回はスカウティングにおける宗教について少し述べてみたい。 宗教といっても色々あり、ともすれば、これが宗教かと思えるものもある。 「苦しい時の神だのみ」という言葉があり、困ったと時や苦しい時に助けてもらうのが 宗教だと思われていることを表現する言葉である。 ある宗教学者が「日本人ほど拝む所の多い国は他にない。また日本人ほど信仰心のない国民もまた少ない」と いわれたことがあるが、信仰心とは何であろうか。
 スカウトとしての「三つのちかい」の冒頭に「神(仏)と国とに誠を尽くし、おきてを守ります」とある。 では神(仏)に対して誠を尽くすということはどういうことであろうか。 簡単に表すことは非常に難しいが、あえてまとめて言えば、
一、 神(仏)を敬う心
一、 神(仏)を信じる心
一、 感謝の心
一、 奉仕の心
この四つの内容を一つにしたものが信仰心といえるのではないだろうか。 問題は、このことを、どこで、どのように現すかである。
 そのためには、寺院や協会に参った時はもちろんであるが、その時だけでなく、日常の生活や スカウト活動の中心として受けとめ、そこで現さなければならない。 もちろん、その基本は神(仏)を尊敬し、信じることに始る。 信じるといっても盲目的に信じるのではなく、神(仏)の仂きや性質、内容を理解し納得して段々と信じ敬うことが強くなり 深くならねばならない。 従って、ただ拝んだり参ったりだけではなく、その宗教の教義(教え)を聞かなければ理解し納得することはできない。 こうしたことをくり返しながら、その神(仏)の仂きの中で大きな恩恵を蒙っていることに気づき、そこに感謝の心が生まれる。 そして、その感謝の心を生活の実際に現すのが奉仕、すなわち世の中や他の人々のために貢献できる仂きを生活やスカウト活動に 現すことが段々とできるようになるのである。そこに、さらに信仰心が育まれるのである。
 こうしたことから、スカウト活動の中心となり土台になるのが信仰心であることに気づかされると思う。 スカウト活動も、ただ集会や行事の時だけでなく日常の生活の中にスカウト活動をとおして学んだことを現してこそ、 本当のスカウティング(活動と運動)といえるのである。それは、「ちかい・おきて」を中心にモットーである、 「そなえよつねに」スローガンである「日々の善行」を実際に現すことでなければ真のスカウティングとはいえないと思う。 「アンノンスカウト」の話は真実のこととして有名な話であるが、その一人のスカウトの善行が、 世界にスカウト運動を広げる大きな動機になっている。このスカウトの善行の基本になっているのが信仰心といえる。
 このように信仰心はスカウト活動によって育まれ、また信仰心を中心にしたスカウト活動こそ真のスカウト活動といえる。 こうして育まれた心をもとに、それが家庭や職場での生活の実際に現され、こうしたことを積み重ねることによって 人格、技能、健康、奉仕という訓練の四本柱が達成され、社会に貢献できる幸福な人生を営むことのできる「よい社会人」を 育てるスカウティングの目的が達成されるのである。
 信仰心は、「これでよい」ということはなく生きている間、求め育まれるものであり、「いつもいつも、死して後もスカウトだ」と 言えるのではないだろうか。従って信仰心は人生の中心であり基本であるといえる。 それは信仰心をもとにしたスカウト活動とスカウト活動によって育まれるという関係があるといえるのである。
 日本連盟教育規定(1-17)に「本連盟は、加盟員が、それぞれ明確な信仰をもつことを奨励する」と定められており、 これは創始者ベーデン・パウエル卿が「スカウトが明確な信仰をもつことを奨励する」といわれたことによるものであり、 スカウト活動における信仰心が、いかに大切であるかについて認識し、改めて信仰心を求めてまいりたいと願っている。
写真は、アトランタ連盟野営場における常設の礼拝場
 
Vol.3

 前回は、スカウティングにおける指導訓練の五つの内容と訓練の必要性について述べましたが、 スカウティングの要は指導者訓練であることから、更に訓練の内容についてふれてみたい。
 「理解」については、指導者として当然スカウティングの全てについて理解しなければならない。まず知識として、どれだけ理解するか、それはスカウティングの目的、原理、精神、活動内容、訓練法、組織、その他スカウティングの全てを理解し、 理解するための指導者の訓練の目的、方法の責務など指導者として必要な内容について知識として理解することである。
 次の「スカウティング技能」は進歩制度を適用できるために必要な技能、それは観察と推理などによる人格形成に役立つ技能である。
 次は「企画技能」で、これはスカウティングを実施する時には、どのようなことでも立案、企画、計画、準備、実施展開、反省評価の手順が必要であり、そこにプログラムができ、、個人的成長を促す教育的効果をあげるために必要である。
 「人間関係技能」は前回でも述べたように、指導者として特に必要な技能である。指導者とスカウト、指導者と指導者、指導者と保護者、その他一般社会との関係などとの良い人間関係なくしてスカウティングは展開できない。良い人間関係とは、 お互いの信頼と尊敬によって成功するものであって、その基本はコミュニケーションにあるといえる。
 最後に「活用技能」は、スカウティングに必要な、人、物、事、財を、いかに効果的に活用できるかである。それは全ての資源、すなわち人的、物的、財的資源の活用にある。
 このように指導者としては、何よりも常日頃の研鑚が絶対不可欠であることは言うまでもない。その指導者訓練には、先ず「自己研修」次に「定型訓練」及び「定形外訓練」への参加と共に「課題研修」に取り組み、また先輩やトレーナー、コミッショナーまたは団委員長などからの「個別支援」を受ける必要がある。このような五つの訓練方法によって訓練内容が高められ、充実するのであって、これは指導者としての人格の涵養と共にスカウトのために決して怠ってはならないことである。
 そして我々の奉仕は、義務ではなく自ら進んでの奉仕活動であって、できるからするのではなく、どうしたらスカウトのためになるのか、そして自ら進んで時間を見出して研鑚に務めることが何より大切ではないだろうか。自身の奉仕が負担になったりすると、それがそのままスカウトに大きく影響することを自覚しなければならない。
 現在、スカウト人口が年々減少し、特に中途退団者が主な原因になっている。これは社会的環境の変化も大きく影響しているが、それは指導者に原因があると思われる。指導者は改めて中途退団者が増加している原因をふまえて、スカウトらしい未来あるプログラムの研究がなにより大切と思われる。
 それが実効できる中心が「信仰心」であると思われる。このことについては次回に述べることにする。
 
Vol.2

 スカウト運動の本尊は「スカウト」であることは誰でもが知っていることである。そのスカウトを本尊たっしめるのは「指導者」である。従ってスカウト運動を担い、運動を推進し、スカウトを育てるのは指導者であることは言うまでもない。すなわち運動の「要」は指導者であり、指導者のあり方によってスカウト運動の成果が明確になり目的が達成される。
 「よい指導者のもとで、よいスカウトは育つ」ということを先輩諸氏から教えられてきた。よい指導者になるためには「指導者訓練」が絶対必要である。ボーイスカウト運動には他の青少年団体にない「訓練体系」を有していることは素晴らしいことである。
 指導者訓練には、次の五つの訓練内容がある。
  ○理解
  ○スカウティング技能
  ○企画技能
  ○人間関係技能
  ○活用技能
 こうした訓練が必要な理由は
1.スカウト運動の組織をとおして−運動・組織の理解、メンバーとしての自覚、立場と関係のあり方。
2.目的に向って−スカウト運動の目的を正しく知る、運動の原理と方法を身につける、指導法の正しい理解。
3.よい指導者をめざして−自己研修が第一、人間性と協調性、リーダーシップとメンバーシップ、諸訓練への参加、立場役務における研修。
などがあげられる。
 以上で全てが大切であるが、特に「人間関係技能」が一番大切ではなかろうか。スカウト運動では人間関係を「技能」としてとらえており、なぜならば、この運動は指導者間の「信頼と尊敬」によって成り立っているからである。これが良い人間関係の基本ではないだろうか。「良い人間関係」とは、楽しく渡りあえる仲間、コミュニケーション、そしてどんなことでも聞き、受け入れる姿勢、そこに信頼と尊敬が生れると信じている。それは指導者訓練によって身につけられるのであり、指導者が、こうした人間関係あってこそ、ボーイスカウト運動の目的が達成されるのではないだろうか。
 次回訓練内容についてふれてみたい。
写真は、アトランタ連盟野営場における指導者訓練の一コマ
Vol.1
 2001年6月、はからずもBSA全米総会の機会を得た。 アメリカにおけるスカウティングは、ロンドンの霧の中でのアンノンスカウトの善行に感銘したボイス氏が スカウト運動を研究して全米に広がったことに始まる。
 現在、日本のスカウティングの中でスローガンである「日々の善行」が、どれだけ問題にされ、 スカウト訓育に取り入れられているであろうか。一人の少年の善行が、しかも、ボイス氏が差し出したお礼も受け取らず、 その上、名前も告げず立ち去った少年の行為が、全世界にスカウト運動が広まったことすら知らない指導者、 スカウトが多いのではないだろうか。
 これから、出来ることなら2〜3ヶ月に1回「This too is scouting」のテーマで スカウティングの基本を紹介していきたい。
あしあと

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